2019年3月19日 第2回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
年金局企業年金・個人年金課
1.日時:平成31年3月19日(火)15:28~18:06
2.場所:AP新橋 3階ルームA
3.出席者:
(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員、藤澤委員、渡邊委員
(オブザーバー)永原国民年金基金連合会理事長、村瀬企業年金連合会理事長
4.議題
(1)関係団体からのヒアリング
(2)確定給付企業年金の非継続基準の予定利率について
議事内容
○神野部会長
それでは、定刻、少々前でございますけれども、ただいまから第2回の「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。
春めいてはまいりましたけれども、年度末の大変お忙しいところを皆様方には御参集いただきまして、本当にありがとうございます。伏して御礼申し上げる次第でございます。
本日は、白波瀬委員、山本委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。
さらに、森戸部会長代理は、少々遅れて御参加ということでございますので、御承知置きいただければと思います。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しているということをまずもって御報告申し上げたいと思います。
それでは、議事に入ります前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金課長でございます。
資料を確認させていただきます。
今日はヒアリングということで、資料1、日本経済団体連合会提出資料。
資料2、日本労働組合総連合会提出資料。
資料3、日本年金数理人会提出資料。
資料4、企業年金連合会提出資料。
資料5、企業年金連絡協議会提出資料。
資料6、国民年金基金連合会提出資料。
資料7は当方から出している資料ですが、報告事項として「確定給付企業年金の非継続基準の予定利率について」。
参考資料1が委員名簿。
参考資料2は前回の資料を参考資料として用意をさせていただいております。
事務局からは以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、見たところ、カメラの方はいらっしゃらないと思うのですが、いらっしゃいましたら、ここにて御退室をお願いしたいと思います。御協力をお願いしたいと思います。
早速ではございますけれども、議題のほうに入らせていただきますが、議題のほうはお手元の議事次第、さらには前回もお話をさせていただきましたが、今回は主要な議題といたしまして、御関係の団体からヒアリングをさせていただくということにさせていただいております。
さらに、今、お手元にございますように報告事項が1つございますが、この2つの議題を準備させていただいております。
早速でございますが、ヒアリングさせていただきますが、ヒアリングをさせていただく主要な団体は日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会、日本年金数理人会、企業年金連合会、企業年金連絡協議会、国民年金基金連合会から御意見を拝聴するということにさせていただいております。
本日のヒアリングの進め方でございますけれども、大変恐縮でございますが、時間の関係もございまして、各団体から意見を申し述べていただく時間を10~15分程度にさせていただきたいと思いますので、御協力をいただければ幸いでございます。その後、6団体に御発表をいただいてからまとめて意見交換をさせていただこうかと思っておりますので、御承知おきいただければと思います。
では、まず初めに、日本経済団体連合会から御説明をお願いいたします。
小林委員、よろしくお願いします。
○小林委員
日本経団連の小林です。
私からは、資料に沿って経団連としての認識、問題意識として、「今後検討すべき課題について」と題して、説明をさせていただきます。
資料の2ページ目をご覧ください。まず初めに、前提となる企業年金を取り巻く環境変化について確認させていただきます。
1点目は、雇用の変容についてです。日本の労働市場では、近年、女性・高齢者・外国人など人材の多様化が進むとともに、労働移動が活発化しています。具体的には、グラフに示したとおりですが、特に高齢者につきましては、雇用安定法の改正や人手不足感の高まりなどを背景として、就業率が近年大幅に伸長しています。継続雇用制度については、当方の調査では79.3%の企業が導入をしておりますが、これを中心として65歳までの雇用確保が図られているところです。
企業においては、多様な人材が多様な働き方をすることを前提とした対応が必要不可欠になっており、いわゆる昨今言われているメンバーシップ型の雇用の枠組みにつきましては、今後、さらに見直しが進むものと認識をしています。
3ページをご覧ください。2点目は、企業活動そのもの、ビジネスの変化についてです。
グローバルでの競争が激化している中、企業の枠組み自体も変化する機会が増えています。国内企業が持続的な成長や中長期的な付加価値向上を目指す上で機動的に事業形態を見直し、経営資源の効率的活用を図ることは極めて重要であり、企業規模の大小を問わず、M&A等による事業再編が活発化している状況がグラフからも見てとれます。
4ページ目をご覧ください。こうした諸々の環境変化も踏まえ、企業としての企業年金制度運営に対する基本的なスタンスを示しています。まず、企業年金制度は、企業にとって自社の従業員福祉の向上のために実施する報酬制度、もしくは福利厚生制度の一部として運営されているということを確認しておきたいと思います。
制度の位置づけとしては、従業員の退職後生活支援を目的とした退職給付制度において、退職一時金とともに基幹的な役割機能を果たしており、従業員個人にとっては公的年金に上乗せして支給される給付として老後生活を支える柱の一つとなるものと認識をしております。
どのような給付形態・水準であるべきか、という点については、制度を実施する各社の従業員特性あるいは報酬ポリシーといった人事戦略上の観点を踏まえて、労使合意に基づいて決定・運営されるべきものと認識しています。
一方で、2000年の退職給付会計導入以降は、財務戦略上の観点もあわせて考慮することが必要不可欠になっており、確定給付型の制度を実施・継続することに伴う企業経営上の負担感が増している実態があります。前回の事務局提示資料にもありましたように、大規模企業においても企業年金の実施率が低下しているのはその証左と認識をしています。
こうした状況、取り巻く環境変化を踏まえて、今後の見直しの方向性については、以下の3点から検討すべきと考えています。
1点目は、人材の多様性や働き方・キャリアパスの多様化への対応。
2点目として、グローバルな競争環境を踏まえた企業年金制度の持続可能性向上。
3点目として、確定拠出年金制度については個人の自助努力支援を強化する観点で、シンプルで利便性が高い制度の実現が必要ということです。
以下、具体的に御説明いたします。
5ページ目をご覧ください。こちらに記載した内容は、前回の部会で提示された検討課題に対する経団連のスタンスをまとめたものです。
まず1点目として、就労期間の延伸という問題については、前回も申し上げたとおり、高齢期における就労期間の延伸ということだけではなく、個々人の働き方の多様化、これに対応できるような制度設計が必要と考えています。
その一方で、多様な働き方への希望、意欲、健康状況等については個人差があるということを踏まえ、年齢によらず退職時からの受給を可能とする制度の柔軟性も必要であると考えます。
2点目の事業主の取り組みを支援する環境の整備につきましては、iDeCoプラスの対象拡大やDCの拠出限度額引き上げ、年金支給債務の社外移転、いわゆるバイアウト等、企業による柔軟な制度設計や運営が可能となるよう見直すとともに、各種事務負担の軽減を図るべきと考えます。
3点目、働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援するという観点では、シンプルで利便性の高い確定拠出年金制度への見直しが必要と考えております。あわせて近年増加している外国籍の人材への対応といった観点にも目配りをする必要があると考えます。
最後に、制度を安定的に運営するための体制確保という観点でガバナンスはもちろん必要ですが、制度の複雑化や事務の煩雑化につながらないように十分配慮すべきと考えます。
以下、制度別にもう少し詳しく説明をさせていただきます。
まず6ページ目、確定給付企業年金についてです。
確定給付企業年金については、人材の多様性、働き方・キャリアパスの多様化を踏まえて制度の柔軟性を確保することに加えて、企業経営上、大きな負担やリスクを負いながら制度の維持、存続に努めている企業にとって持続可能な企業年金制度とする観点で選択肢の多様化を検討いただきたいと考えております。
1点目として、支給開始年齢の見直しへの対応についてですが、高齢期の就労期間延伸に伴って、65歳を超えて勤務を継続する従業員というのは今後ますます増えていくと考えられますが、先ほども申し上げたように、多様な働き方への希望、意欲、健康状況等については個人差が大変大きいことを踏まえると、退職時からの受給も必要な選択肢と考えます。
あわせて各社の労使合意に基づいて柔軟な制度設計が可能になるように対応をすることが必要と考えております。企業年金も公的年金の検討とあわせて支給開始年齢の見直し、引き上げが必要と考えますが、一律的な規制強化とはならないように御配慮をお願いいたします。また、支給開始年齢の引き上げを検討するに当たっては、給付減額の判定基準についてもあわせて見直しが必要と考えております。
2点目として、リスク分担型企業年金の改善についてです。リスク分担型企業年金の給付減額判定につきましては、通常の確定給付企業年金とは異なる基準が設けられています。例えば、その制度を実施する事業所が追加される場合などには、通常の確定給付企業年金においては給付減額とならないようなケースでも給付減額に該当してしまうことがあり、制度普及の阻害要因となりかねないと危惧しております。ぜひこの給付減額判定基準の見直しを検討いただきたいと思います。
3点目といたしまして、持続可能な年金制度運営に向けた対応ですが、先ほどご覧いただきましたようにM&A等の事業再編が増えている中で、移行後の企業規模等が小さいため確定給付型の年金の承継が難しいといったケース、あるいはDCへの移行に伴ってDB年金を閉鎖するといったケースも起こっています。そうした場合の給付の選択肢の拡大が必要と考えておりまして、例えば英国における閉鎖型DBのバイアウトなどのように、年金の支給義務を社外に移転させる仕組みなど、企業としての制度設計の柔軟性を高めるポータビリティー拡充の方策を検討いただきたいと考えております。
7ページ、次に確定拠出年金についてです。
確定拠出年金につきましては、従来から要望してきたとおり、企業の退職給付制度の基幹的な役割としての制度設計を可能にするという観点で、さらなる見直しが必要と考えております。また、高齢層の継続就労や転籍者・外国籍人材の増加など、人材の多様性や働き方の多様化への対応を強化するということが必要と考えております。
具体的な要望として3点あります。
1点目は、確定拠出年金の掛け金の上限引き上げです。平均的な企業の賃金カーブあるいは退職給付の水準を考えますと、中高年層や役割の高い者の掛け金が企業型の確定拠出年金においては拠出限度額を超過するという事例が多いというように認識をしています。現状の拠出限度額では確定拠出年金を主体とした制度設計が難しいため、ぜひ引き上げを検討いただきたいと考えます。
2点目として、中途引き出し要件の緩和です。先ほど来申し上げているように、外国籍人材の雇用が増加する中で、例えば退社、帰国時等の中途引き出しができないことで支障が生じているということもございますので、中途引き出しを可能とする選択肢を検討いただきたいと思います。
3点目として、加入可能年齢・受給開始年齢の見直しです。高齢期の就労期間の延伸に伴って、60歳を超えて勤務を継続する従業員は既に大幅に増えておりますが、グループ会社あるいは関係会社への出向・転籍といった選択肢以外にも他社へ転職するケースなど個人型制度への加入ニーズは拡大しています。その一方で、繰り返し申し上げていますように、健康状況等、個人差が大きいということも踏まえますと、給付については柔軟な選択肢が必要と考えています。企業型、個人型の双方において加入可能年齢の範囲拡大を検討していただきたい、一方で、受給開始可能年齢については、現行どおり60歳からとしていただきたいと考えております。
資料の次ページをご覧ください。8ページ、引き続き確定拠出年金についてであります。2016年の法改正において個人型DCの加入範囲が拡大され、制度普及の面ではプラスとなりましたが、一方で、制度が複雑化しているという問題があると考えております。制度をさらに普及・拡大させる観点では、わかりやすく、かつ手続面の負荷が小さい制度とする必要があると考えております。あわせて、個人が平等に退職後資産を準備できる環境を整備する観点で、企業型DCの規約にかかわらず個人型DCへの加入を可能とするほか、拠出限度額の統一、あるいはマッチング拠出額の自由化を一体的に進めていただきたいと考えています。
具体的には、1点目として個人型の加入資格要件の緩和であります。規約に定めがない場合でも個人型への加入資格を与える等、個人型DCの加入要件の緩和を検討いただきたい。もしくは職域とは独立して企業型または個人型のいずれかへの加入を従業員が選択できるようにしていただきたいと考えます。
2点目、企業型・個人型における掛け金拠出上限の統一であります。現状は拠出限度額が加入者の属性によって異なっているため、制度が複雑化し、企業、個人双方にとって事務手続が煩雑化していると認識をしています。その結果として、制度への理解があまり進まず、普及促進の妨げとなっているという懸念もあります。ぜひ制度のわかりやすさ、あるいは制度間の公平性を確保する観点で、個人型DCの掛け金拠出上限を企業型と合わせることを検討いただきたいと考えます。
3点目がiDeCoプラスの対象拡大です。本制度については企業規模を限定する必要性は乏しいのではないかと認識をしています。さまざまな事情でマッチング拠出の導入が難しい事業主においては、加入者拠出と事業主拠出を合わせた退職後の資産形成を支援する仕組みが必要と考えます。企業規模にかかわらずiDeCoプラスの取り扱いを可能とするということを御検討いただきたいと考えております。
4点目がマッチング拠出の自由化であります。近年、マッチング拠出を導入する企業は増加傾向にありますが、従業員は事業主掛け金を超える拠出ができないため、自助努力による積み立ての増加が阻害される現状があると認識をしております。マッチング拠出の自由化を図ることで従業員の制度加入のメリットも増加し、自助努力の強化に向けたインセンティブ向上も期待できると考えます。拠出限度額内でのマッチング拠出の完全自由化を実現していただきたいと考えております。
自助努力は老後生活を支える三本柱のうちの重要な1つと認識をしておりますので、ぜひ企業年金の有無等に縛られず、個人が自助努力を行うことが可能となるような支援を行っていただきたいと考えております。
最後に、資料の9ページ目ですが、税制手続の簡素化について2点、要望をしたいと思います。
1点目が特別法人税についてです。特法税につきましては現在、平成31年度、2019年度末まで課税が凍結されておりますが、企業年金制度をより一層普及・拡充させる観点では、速やかに廃止をすべきと考えております。
2点目、手続に関連する事項として、企業型DCを実施する企業の従業員が個人型DCに加入する場合の事業主証明発行等の手続を簡素化するなど、ぜひ制度普及の観点から、個人・企業の事務手続についてはできるだけ簡素なものとなるよう御配慮をいただきたいと考えております。
私からの説明は以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
要領よく御説明いただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
引き続いてではございますけれども、日本労働組合総連合会から、これは伊藤委員から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○伊藤委員
連合の伊藤です。
今日はプレゼンの側で話をさせていただきます。
資料をあけていただきまして2ページをご覧ください。まず連合としましては700万人の組合員がおりますが、民間も、公務員もいて、また正規も非正規もいて、また、家族の生活も含め非常に多様な生活環境の組合員等を念頭に置いて、公的年金と企業年金について考えております。
そういう意味で、全ての人に所得保障を提供するものとして公的年金というのは極めて重要だと考えております。今日の議論は企業年金等でございますが、企業年金について改めて私たちの認識を申し上げたいと思っていまして、これはやはり労働者の退職金、後払い賃金、まさに労働条件なのだということを、ぜひ共有していただきたいと思っております。
経緯はこの黒ポツのところに書いてありますが、江戸時代から明治の近代を経て、退職金制度というものを一般化していく中で、これを給付費用の平準化というようなことで年金化していったということで、この点についてぜひ共有していただきたいと思っております。この点、2000年の退職給付会計基準においても賃金の後払い的性格については明確になっていると思っております。
これに加えまして上のほうの青いところで囲ってあるところの2つ目ですけれども、公的年金の給付抑制に伴って企業年金による公的年金の補完機能に対する要請も高まっています。企業年金制度の見直しによって、昨今、企業年金から個人型の年金あるいは事業主拠出から本人拠出への置きかえが可能になるような仕組みもどんどんできているわけですが、こうしたしくみの活用にあたっては退職給付であるということを十分留意する必要があると思っております。
人口構造や経済環境などを踏まえると公的年金は大きな課題を抱えているし、また、企業年金についても企業経営上の問題などもあって、退職給付を抑制するような議論も行われがちなのですけれども、その際、「ないよりはましでしょう」というようなことで企業年金制度の弾力化が進められるということについては非常に懸念をしております。
3ページ目です。これはもう前回の資料にもあったところで、労働者に占める非正規雇用者というのは4割近くになっておりますが、その一方で、企業年金・退職金制度の普及というのは非常に限定的で、ご覧いただいたとおり、退職金が、パート、臨時、派遣において非常に限定的であるのに対して、企業年金はさらに限定的であるという現状にあります。同一労働同一賃金もいよいよ進められることになっておりますので、法的に確実に退職金あるいは企業年金に同一労働同一賃金が当てはまるかというところはありますが、留意する必要があると考えております。
4ページをご覧ください。こちらについては企業規模についての問題であります。これも前回の資料に入っていたところでありますが、やはり年金制度について、企業規模が小さいところほど普及の程度が低くなっているということが見てとれると思います。この点についても、企業年金を通じて企業規模間の格差が温存されたり、拡大するというようなことがあってはならないと考えております。
5ページをご覧ください。もう一つの問題意識としましては、受け取り方法であります。DBの7割、DCでは9割以上が一時金での受給をしているということが前回の資料でも示されているところであります。この傾向は続いているのですけれども、DB法またはDC法の目的規定を見れば、国民の高齢期という一定期間における所得の確保を支援するということ、また、その大目的は国民の生活の安定に寄与することですので、やはり一度にこの給付を受けるという形では企業年金として機能を十分に果たし得てないと言わざるを得ないところであります。この点については税制の問題が大きくかかわっていると思いますが、これがどういう目的で一時所得として受け取っているのかというようなことも十分分析していく必要もあると思っております。
6ページです。さらに、もう一つの問題意識としましては、これはDCについてですけれども、投資教育であります。DCは自ら投資し、運用指図をしていくということでありますが、それが給付額に直結しますので、適切な運用をするためには十分に情報、知識を加入者が持っている必要があります。
それに対して、投資教育の実施状況、これは表を見ると多少ふえていて、回数についてもだんだんふえているというように見えると思いますが、ここに示し切れませんでしたが、その内容なのです。実際に行われている内容としまして、たしか2番目に多く行われていることは広報とされています。きちんと教育になっているのかという問題意識が強くございます。きちんと教育という形で継続的に行っていく必要があると思っております。
7ページをご覧ください。ガバナンスに関する問題であります。
昨今、企業年金制度については大変複雑な仕組みが導入されてきております。DBとDCが近くなってきているように思っておりますけれども、事業所においてはその仕組みを使いながら多様な設計が行われているわけですので、事業主には加入者や受給者はもちろんですが、労働組合に対しても丁寧な説明が求められると考えております。リスク分担型などでは労使合意によってあらかじめ設計をしておくというようなこともございます。そのため十分な情報提供及び説明ということが必要だと思っております。
受給権の保護という観点で考えても、ガバナンスの実効性というのは重要だと思っておりまして、事業主等からの情報提供や説明を踏まえて意見反映につながるわけですので、わかりやすい情報提供や説明が重要だと考えています。
また、規約変更時の同意権者に対する情報の開示ということが重要でありますが、それと同時に加入者に対する説明を含めて、これらの者が適切に関与できるような条件整備というようなことが必要だと思っております。この間、参考ということで示したような改正が行われているところですが、より充実が必要ではないかと考えるところでございます。
最後に8ページです。選択型DCとか疑似マッチングとかいろいろな言われ方をしますが、マッチング拠出に関して課題があると前から考えております。この選択型DCに当たってメリットが強調されますが、それが加入者側に十分に理解がされていないまま事業主が負担すべき掛金を加入者に転嫁する場合には労働条件の不利益変更もあり得る、そういうような懸念があります。
また、この事業主側の拠出と加入者の拠出、どちら側からも上乗せ拠出をしていいよというような形にだんだんなってまいりましたが、退職給付の債権・債務を明確化する観点から、従業員・企業双方の拠出についてきちんと区分管理をしていく必要があると考えております。
以上、連合からの説明とさせていただきます。ありがとうございました。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、日本年金数理人会から御説明を頂戴いたしますが、これは小川委員からよろしくお願いいたします。
○小川委員
日本年金数理人会の理事長の小川でございます。よろしくお願いいたします。
まず表紙をご覧ください。当会の説明がないのですが、当会は平成元年の4月に創立いたしまして30年たっておりまして、600名程度の年金数理人を擁している会でございます。
表紙が「企業年金制度の普及および改善に関する提言」となってございますが、当会は過去にもリスク対応掛金の提言をさせていただいておりますし、今回、部会でのプレゼンテーションということになってございますが、常に提言に関する委員会などを持っておりまして、そういったところでいろいろ提言をさせていただいているというところでございます。
1ページの目次をご覧ください。前回の第1回の部会でもお話しさせていただきましたが、手前ども年金数人は法令とかルールを理解して、それを運営しているのみならず、個々の数理人が個別の企業のコンサルもさせていただいておりまして、今からお話しするのはどちらかというと実態に即した形で提言をさせていただくというような内容になってございます。
また、これからお話しする内容は、DBの内容は比較的多うございますけれども、年金数理人は、DBだけではなくてDCにつきましても制度変更とか御提案の中できちんと理解をしてコミットしているということを申し添えたいと思います。
今、ご覧いただいている2番のところに具体的な提言がありますが、上側が5つ、下側が2つ、全部で7つ、かなり具体的な提言ということでまとめさせていただいております。
それでは、中身に入ります。2ページをご覧ください。
2ページは上に書いてございますように、先月の1回目の部会の資料でございまして、48ページにありました検討課題。これからお話しする提言につきましては、この検討課題1、2などの番号を対応するものについては付してございます。そういった形でご覧ください。
それでは、3ページに移ります。
今からお話しする提言の手前どもが認識している背景でございますけれども、左上にありますように年金制度を取り巻く環境といたしましては、社会・雇用につきましては、御案内のとおり、高齢期が長期化している、あるいは多様化しているということがございます。公的年金につきましては御案内のとおり、やや縮小していくというように捉えてございます。
それを受けまして右上の企業年金の現状ですけれども、これは前回、事務局で御説明いただいたように、実施企業の割合が低下しておりますし、水準も低下、そして、終身年金が少なくなってDBからDCといった流れがあるのではないか。
したがいまして、課題といたしましては、実施企業が運営していくのに際しての負担、あるいはこれも資料にございましたけれども、年金と言いながら、どちらも一時金で取ってしまっているというところが課題ではないかと認識しております。
したがいまして、その下にございますように、目指すべき方向性といたしましては、公的年金、雇用の多様な組み合わせを可能にしていかなければいけないわけで、そのために企業年金をより柔軟にしていくというのが大事ではないか。普及・拡大をするために何らかのインセンティブがないといけないのではないか。また、それだけでは足りず、やはり個人の自助努力も必要なのではないかなというように方向性を考えまして、一番下ですけれども、これからお話しする内容は企業年金制度の普及、個人の自助努力等への支援という大きく2つの観点から御提言をさせていただきたいと思います。
4ページをご覧ください。
まず1つ目、企業年金制度の普及に関するテーマですけれども、ここから資料の体裁は一番上に課題がございまして、真ん中のところに1行、必要というように書いてございます。それを受けて提言というスタイルになってございます。
まず上のところ、定年延長等に伴う手続上の課題でございますけれども、定年延長等があった場合には、給付減額だというようにみなされる。みなされますと個別同意が必要ということですので、実際、実施されている企業様の負担になっている。また、最近は働き方改革の中で育児・介護休業等、これは法律が変わってよくなっていくのですけれども、それに伴ってDBの給付設計を変更する場合でも、場合によっては給付減額とみなされるということがあります。
したがって、真ん中にございますように、給付減額ということを新たに定義し直して企業の負担軽減や手続の簡素化を図ってはどうかということで、提言といたしましては、下にございますように1つ目は定年延長、例えば60から65に定年延長したときに給付額が減っていないということであれば、それは必ずしも減額と言わなくてもいいのではないかということでございます。
2つ目は、法律が改正されて何かいいことが図られた場合に、それに伴う給付の変更につきましては減額としないという再定義が必要ではないかということでございます。
5ページをお願いします。
普及の2点目ですけれども、課題といたしましては、終身年金は安定した所得保障手段です。ただ、実際に退職給付会計の問題等もございまして、やはりDBでは有期が多い。一方、公的年金が縮小しますから、やはり補完としての役割は期待されるのではないでしょうか。したがって、終身年金をきちんと運営できるという持続可能性を高めて普及・拡大を図るということが必要かなと考えました。
下の提言なのですけれども、補足いたします。提言の左上に括弧書きで企業年金が終身部分の役割を担う場合というように書いてございますけれども、この企業年金がどういう役割を果たすかということにつきましては、ここからお話しする話ではなくて、例えば公的年金というのは既に終身年金でございますので、例えば受給開始年齢をおくらせて、保険性も十分ございますので、公的年金のほうに終身の部分を担ってもらって、企業年金はその間のつなぎだという考え方もございます。
ただ、大企業の場合には割とそういうこともできるのでしょうけれども、中小の企業の場合には、もともと公的年金の水準が低かったりしますし、企業年金をそういう場合には終身としてあらかじめ上乗せしておかなければいけないのではないかなということでございます。したがって、そういった場合の話として、これからの提言をお話しいたします。
1つ目、かなりテクニカルですけれども、死亡率が変わりますと終身年金の金額というのが計算するときに動いていくのですが、その場合には終身部分に限っては自動調整をさせていく。この場合には、それによって増減、特に減額することもあっても、それは認めようという話でございます。
2のほうは非常にクリアなところで、今、20年となっていますが、当然、25年、30年という要請もございますでしょうから、長くするということでございます。
6ページでございます。普及に関する3点目、中小企業及び非正規社員でございます。
課題につきましては、先ほどございましたけれども、普及率が低い、あるいは手続面の負担が重い。非正規につきましては、そもそもそういう手当てができていなくて手段が十分に与えられていないという課題があるのではないでしょうか。したがいまして、真ん中にございますように、行政当局からの支援も必要ではないかなと考えました。
下側の提言でございます。2つございます。
1つ目が、既にございます総合型のDBです。こちらはかなりの件数がございますので、その年金の掛金ですとか事務費のところを助成するということでございます。あと総合型のDBに入っていないところもたくさんございますので、そちらを勧誘したり加入させていくための運営費、こちらに対する助成。
2のほうも助成なのですけれども、やはり制度というのはある程度大きくなってくると安定を図れますので、早期の資産形成を促進するため、金額がある程度積み上がるまでは助成をするという方法でございます。
7ページでございます。リスク分担型企業年金のことでございます。
御案内のとおり、既に時間がたっているのですけれども、事例が少ない。あと2点目としましては、やはり個人ごとの持ち分というのが非常に大事な制度でございますので、場合によっては減額となるということでございます。こういった阻害要因を改善していくということが必要で、具体的な提言は下にございますようにM&Aとかで新たに入ってくる場合は、減額と今だとみなされるケースもあるのですけれども、何でもかんでもはまずいと思いますが、財政状況が十分であれば必ず支払いのほうは間違いなくできるわけですので手続を簡素化する。
あるいは同じような話なのですが、普通の企業年金から移行する場合とか権利義務を承継する場合、全体の金額のふえ方が少ない場合には個人ごとの持ち分が少なくなって、それは減額となってしまうので、そういった場合につきましては一括で掛金を入れるということでございます。
8ページでございます。普及の最後でございます。
こちらは事務的な話でございまして、上に書いているような課題に対しまして下の提言でございますけれども、適年の時代に自主審査要領というのがございまして、こちらでみなし承認ができておりましたのでスピーディーに御認可いただけるということ。あるいは今も政府で取り組んでございますけれども、簡素化・電子化ということ。3点目のところは、例えばiDeCoというものは、いろいろ緩和をした部分と広報としてもiDeCoというネーミングで非常に理解が進んだと思いますので、情報発信して、そもそも企業年金というのはどういうものなのかという認知を改めてする。この認知度アップは国から企業への情報発信あるいは手前ども数理人会のほうから企業への情報発信、企業の中で従業員、加入者について情報発信といろいろなフェーズがございますけれども、それぞれ理解、認知度を上げていくということを指してございます。
あと2つが個人の自助努力のところでございます。
1点目がDBのほうの加入者拠出なのです。こちらにつきましては、結構知られていなかったりして普及をしていないところがあります。DCの場合には提言の下側にありますように、2番にございますようにマッチング拠出とかということで結構わかっているのですけれども、1にございますようなDBでも加入者は掛金を払う。その場合も画一的なところではなくて若いうちは少なく、勤続が長くなってきたら給料も上がりますので多くとかという減額・増額を柔軟にする。そういうことができればもう少しDBにおいても加入者拠出ができるのではないかなと思います。
最後ですけれども、個人の自助努力ということで、これは税制面のところでございまして、下側、提言のところにございますように、DBの加入者掛け金につきましては生命保険料控除になってございますので、それとは別枠の控除あるいは社会保険料控除を適用するということ。あるいはこれもよく言われておりますけれども、年金で給付したときに、より課税されないような形ということの見直しをしていただけたらなと思います。
次のページが最後で、その次のページから縦型の資料になってございますが、冒頭申し上げましたように手前どもでは、今、申し上げましたパワーポイントの資料のもとが縦型になっている資料の1ページから最後、8ページまでございますので、こちらにつきまして本日は説明を割愛させていただきますが、今、説明した内容がまとめられたものになってございます。
私からは以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続いてでございますけれども、企業年金連合会から御説明を頂戴いたしますが、村瀬理事長。
○村瀬企業年金連合会理事長
企業年金連合会の理事長の村瀬でございます。
説明の機会をいただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。
本日、説明のポイントは2点ございまして、まず企業年金連合会とはどんな組織なのかということについて簡単に御説明申し上げたいと思います。続きまして、2つ目のポイントとしまして、企業年金の現場から聞こえてくる今後の企業年金の改革の方向性について、提言をしたいと思っております。
お手元の資料の3ページをお開けいただきたいと思います。
企業年金連合会は、昭和42年に厚生年金保険法に基づきまして厚生年金基金連合会として設立されておりまして、50年を超える歴史を持ってございます。そして、平成17年10月に企業年金連合会に改組をしておりまして、このときから理事長は民間出身者になってございます。
事業は大きく2つございまして、企業年金のナショナルセンターと企業年金の通算センター。企業年金のナショナルセンターとは何かといいますと、会員のための研修、情報提供、助言等、調査研究や各種政策提言活動を行わせていただいております。
一方、企業年金の通算センターは厚生年金基金であるとか確定給付企業年金の中途脱退者等に対する年金給付を一元的に行う年金通算事業を行ってございます。これは後ほどポータビリティーに関係がございますので、あえてここで説明させていただきます。
続きまして、簡単に4ページ。企業年金の制度運営やガバナンスを担う人材を育成するということで、具体的に研修活動をどのような形でやっているかという詳細でございますが、ここでは年間70回以上、延べ3,000名を超える方々に対して年金経営のトップから事務関係を含めて研修を行っているということを見ていただきたいと思います。
5ページでございます。情報提供による企業年金の支援ということで、情報提供、どんなことをやっているか、調査研究はどうなのか、ホームページの開設サービスがどうなのか。特に調査研究のところで企業年金の実態調査、確定拠出年金の実態調査、これを毎年実施しておりまして、これが1つの定点観測になると思います。
それから、受託者責任ハンドブック、AUP実践ハンドブックと、これは会員の皆様の協力を得ましてハンドブックを作成しておりまして、会員の皆様に資するような形にしております。
6ページ、これが今までやってきております政策提言活動の内容でございまして、主な提言、それに対して具体的に実現した内容等について書いてございます。これは後ほど見ていただけたらと思います。
7ページは、DCの継続投資教育が企業年金連合会でできるようになりまして、その具体的な展開についてまとめたものでございまして、これも後ほど見ていただけたらと思います。
8ページ、これが企業年金の通算センター事業でございまして、現在、どれぐらいの規模で行っているかということでございますが、約3190万件の中途脱退者等の年金記録を管理させていただいておりまして、資産規模で言いますと下にございますように約11兆8000億円のお金を預からせていただきまして運用してございます。毎年770万人の方々に対して約8000億円のお金をお支払いさせていただいているという形でございまして、規模的には相当な規模の件数を扱わせていただいております。
9ページ、運用実績と年金財政の状況でございますけれども、7割方が代行部分でございまして、資産運用におきましては厚年本体運用利回りの確保が求められておりまして、おかげさまで厚年本体利回りを上回るリターンを確保しております。その結果、現段階ではどういう状況かといいますと、平成29年度末で責任準備金と純資産額の割合は113.1%という積立水準を確保しておりまして、財政ということで言えば比較的安定しているというように言って間違いないと思います。
そして、10ページ、運用実績と年金財政の状況でございますけれども、複合ベンチマークを上回る超過リターンを実現しておりまして、超過リターンは1兆5000億円を超える付加価値額を獲得してございます。したがいまして、上記を踏まえて言いますと財政の健全性は間違いなく確保できていると現段階では言わせていただいてよろしいのではなかろうかと思います。
続きまして、今後の企業年金の方向性についてお話を申し上げたいと思います。
ページをずっと飛んでいただきまして19ページをお開けいただきたいと思います。
参考という形で企業年金制度研究会報告書というのを書いてございます。この19ページと20ページ、公的年金の中長期的な給付調整の見込みであるとか就労期間の長期化、企業年金の加入者のカバー率の低下等の課題を踏まえまして、企業年金制度のあり方等について議論するために、昨年の5月から今年の3月まで計7回にわたりまして研究会を開催いたしまして、検討項目を19ページ、そのまとめの抜粋を20ページに書いてございますけれども、これをおまとめいただきました。そして、企業年金制度研究会報告書といたしまして3月13日に連合会のホームページにアップしております。今回、提案の内容は、この一部を各項目の中にちりばめて入れさせていただいております。
19ページ、20ページの概要につきましては、詳細をホームページに掲載しておりますので、お時間があればホームページを見ていただけたらと思う次第でございます。また、このホームページに入れています研究会の報告書の内容と先ほど申し上げましたように実態調査をやっておりまして、その実態調査の内容、政策委員会というものを連合会では設けさせていただいておりまして、その政策委員会でさまざまな議論をしておりまして、その声を踏まえまして、今回、取りまとめたものを御提案としてまとめたものでございます。
お戻りいただきまして、その内容の状況について12ページからまた御報告を申し上げたいと思います。確認のために企業年金を取り巻く状況の変化とその影響について簡単に触れさせていただきたいと思います。
本件につきましては前回22日の日に御説明がありました状況のところについて取りまとめたものと重複しますけれども、確認のために少しお話をしたいと思います。
長寿化の進展、まさに人生100年時代を迎えまして、老後の所得確保の観点から、私的年金への期待が高まっているという中で、企業年金を取り巻く状況の変化ということで、やはり退職給付会計の導入であるとか企業の統廃合を背景にいたしまして、企業の考え方が大きく変わってきている。また、企業経営のグローバル化によりまして働き方が多様化してきている。
一方、適格退職年金の廃止、厚生年金基金の解散等によりまして、公的年金制度自体の恩恵をこうむらない人が増えてきているという状況の中で、企業年金はどんな影響が出てきているのかということをまとめてあります。1つは母体企業のバランスシートから年金債務を分離するということで、大きくDC化の流れというのは止められない、それが出てきているのではないか。それと同時に、前回のときにも御指摘申し上げましたように、企業年金の加入者が大幅に減少している。特にその中でも中小企業の企業年金の空洞化が進んでいるというのはやはり現実だろうと思います。
一方、その中で13ページ、企業年金の将来を考える視点でどういう観点から物を見ていったらいいかということで企業の視点、従業員の視点から見たらどういう状況になっているかということを見ますと、まず企業の視点としては、やはり変動する経済情勢の対応の中で企業と加入者等のリスク分担のあり方を今後どうしていったらいいのか。長寿化の進展と私的年金の役割の中で終身年金なのか、有期年金なのか、これをどういうような役割でいくのか。雇用の流動化と多様な人材の確保ということでポータビリティー機能の拡充が進んでいますけれども、どこまでこれを確保していくのか。
また、従業員という視点から物を見た場合については、長期化する老後の所得確保ということで、自助努力でiDeCoをどう活用していくのか。生涯現役社会の到来ということで高齢期における就業期間の延長の問題をどう捉えるのか。資産運用に関する情報の非対称性ということで、投資教育や資産運用に関する情報提供の必要性。これらをどのように考えていくかといった中で物事を考えていく必要があるのだろうと思います。
その中で、やはりDBにおけるリスク対応、14ページでございます。経済変動における対応ということで、今まで予定利率の引き下げであるとかキャッシュバランスプランの導入、リスク対応掛金、リスク分担型企業年金の導入と、いろいろ手を打たれてきた。特に大手企業を中心にして非常に努力されてきたというように考えていいのではなかろうか。また一方、企業にとってはDCとDBとの組み合わせによって結果的には経営と従業員がリスクをシェアする取り組みも採用されてきている。まさに労使協議の場におかれて企業の人事政策がきっちり固まってきていると言っても過言ではないのだろうと思います。
今後、これをどう捉えていくかということでございますけれども、現役世代と受給者世代の公平性をどのように確保するかという視点も必要になってくるのではなかろうか。それが先ほど申し上げました長寿化との関係で従来どおりでいけるのか、いけないのか。まさにDB制度を持続的に維持していくためにできる限りの足かせを除いていき、労使協議の世界に任せることが今後極めて重要ではなかろうかというのが前回、私のほうで申し上げた主張でございます。今回、御提案に出ていますけれども、非継続基準等についても柔軟な対応がやはり求められてくるのではなかろうかというように思う次第でございます。
DBという観点から言いますと、ページを飛ばしていただきまして17ページ、前回も申し上げましたけれども、中小企業におけるDBの受け皿として総合型DBが有効であるということを御主張申し上げました。適格退職年金廃止時について約4割が制度廃止になった。今回、途中経過でありますけれども、厚生年金基金制度が531基金で健全化法が施行されましたが、そのうち後継制度なしが309基金。では、そのうち総合型はどうかということになりますと、466基金から184基金に減少しているということで、残念ながら極めて少ない数のDB制度しか残らなかったというような現状でございます。今回の健全化法の目的は公的年金を毀損させないことということで、その目的にはかなったわけでございますけれども、やはり今後は総合型DBを持続的な制度として維持していくとともに、今後のDBの拡大の受け皿、さらには企業型DCの運営管理機関としての活用という観点からも総合型DBをどう活用していくかというのを視点に置いていく必要があるのではなかろうかと思います。
お戻りいただきましてDCの改善ということで、先ほども経団連の小林さんからお話がありましたように、今後の老後の所得確保の役割を担うのは、やはりDC制度、これは企業だけではなくて企業・個人も含めて、このDC制度が役割を担うと言っても言い過ぎではなかろうと思います。そのためには、この制度をいかに使いやすくしていくかということが極めて重要だろうということで、DCの改善という観点でここにまとめてございます。
1つは拠出限度額の拡大であるとか加入可能年齢の上限の引き上げ等、これをどうしていくのか。次に、適切な資産形成のための支援ということで、右側の表に書いてございますように、残念ながら、まだ元本確保型商品に偏って投資されているというのが現状でございます。これを適切な投資判断を行えるような投資教育をやるとか情報提供をしていくことによって変えていくのかというのは極めて大事だろうと思います。
もう一点、個人型DCの普及に関しまして、iDeCoが普及しているわけでございますけれども、その大半が第2号被保険者になってきている。そうすると、企業型DCと個人型DCのiDeCo、同じ人が両方に入るということがあるわけでございまして、片側が継続教育も含めて投資教育を行っていく。片や投資教育というのは自分の自己判断で行う。この部分をどのようにしていくのかというのも重要な問題だろうと思います。
今後、大きな課題としましては、長寿化が進む中でDCの受け取り方の選択で先ほど一時金が多いということでございますけれども、年金で受け取るという形になった場合に受け取る期間が長くなった場合、60歳から仮に受け取るとしますと、60歳で受け取るときと70歳のときと80歳のときとどういう受け取り方をするのか。同じ資産配分で受け取るというのはだめでしょうから、そこをどう的確にアドバイスできるかというのも今後重要な課題になってくるのではなかろうかと思う次第です。
もう一つ大事なことは、やはり機会であるとか公平性の観点から言って拠出限度額を超えたDBとDCのイコールフッティングの問題、企業型DCのあるなしの問題、これをどういう観点で公平性を導いていくのかということも大事だろうというように思います。
16ページ、ポータビリティーの課題でございますけれども、以前に比べてポータビリティーの制度面の整備が随分行われたわけですが、実効性において、まだ残念ながら課題がある。その部分は何かといいますと、DBについては規約を定めない限り移換ができないということで、残念ながら規約を定めているDBが非常に少ない。この部分をどうするかというのが一つの課題として残っている。
その中で、あえて企業年金連合会の通算企業年金を使えますよということをここで主張するつもりはございませんけれども、財政基盤が安定しているのも一つの方向としてお考えいただくこともあるのではなかろうかということで先ほど113%という数字を申し上げた次第でございます。
最後に18ページ、関連制度との連携ということで、特に税制の問題についてお話をさせていただきたいと思います。特に特別法人税につきましては先ほど経団連さんからも話がございましたように、現在、時限的に課税が停止されてございます。そして、海外等の例を見ましても、積立金に課税するといった例は稀でございます。特に特別法人税の課税を再開することについては、企業年金制度そのものの崩壊につながりかねない場合もありますし、今後、ますます重要となる私的年金の普及を阻害することになりかねません。ぜひ撤廃が必要であるというように考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○神野部会長
要領よく説明いただきまして、どうもありがとうございます。
続いてですが、企業年金連絡協議会から御説明を頂戴いたしますけれども、田川様、芥川様、林様から御説明をいただくことになっておりますが、代表して田川様がやっていただく。よろしくお願いいたします。
○企業年金連絡協議会
企業年金連絡協議会の会長をしております田川と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
1ページをご覧いただきたいと思いますが、企業年金連絡協議会というのは正会員が521です。単・連、DB、総合型DB、DC制度を合わせて正会員521でございます。
歴史は45年の歴史を一応持っております。
次に、4ページまでは企年協の説明でございますので割愛させていただきます。
5ページから13ページまでは企業年金制度の課題を現状と問題点、課題について図示したものでございますので、これも後ほどご覧いただければよろしいかと思います。
14ページをご覧いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
青字が一応ポイントということで、これに沿ってお話をさせていただきますので、字は青字を中心にご覧いただければよろしいかと思います。
まず課題1でございます。企業年金(DB・DC)についてというところでございますが、(2)就労条件総合調査によれば、退職給付制度を提供する企業の割合は、これはお話にずっと挙がっていますが、低下している。2008年から2013年の5年間で13.4%、下がる。ちょっと回復しまして、2018年は77.8%になっているということで、10年間ではそれでもマイナス11.1%、このように低下傾向は否めない。東京都の調査で見ますと、中堅中小企業では、ほぼ4社に1社、退職給付制度が未実施であるということであります。
(4)公的年金を補完すべき企業年金制度や退職金制度といった私的退職金制度の役割というのは、まだ国民全体で共有されていない状況であるということでございます。
15ページをご覧いただきたいのでございますが、(7)でございます。退職給付制度の基幹は、やはり退職一時金制度であるということでございます。最近では、むしろ企業年金制度から一時金制度への回帰傾向が強まっているということも事実でございます。
(8)企業年金の実態は一時金であるということです。先ほどDBが7割、DCが9割ということで実態として受け取り方は一時金で受け取っている例が非常に多いということでございます。
16ページは飛ばしていただいて、17ページを見ていただきたいのですが、(14)高齢期の所得保障、これが今、論点になっているかと思うのですが、日本ではオランダやスウェーデンのような加入義務化あるいは強制化が仮になじまないとすれば、企業年金の魅力的な制度設計とあわせて税制上の奨励措置、いわゆるこれは法人に対して、個人に対して、整備する必要があるのではないかというように考えます。退職所得税制の見直しを含め、既存の退職一時金制度の企業年金制度への再編をやはり意識しないといけないのではないかと考えております。
課題2でございます。中小企業における課題でございますが、(1)企業年金の普及施策を論じる場合、税制優遇施策が議論されるのですが、特に中小企業に関しては税制優遇措置が有効か、あるいは無効か、慎重に見きわめる必要があるのではないかということでございます。近年の欠損法人の割合は7割を超えているということでございますので、恒常的な赤字にとって企業年金の税制優遇が果たしてインセンティブになるのでしょうかということでございます。
19ページをご覧いただきたいのですが、(8)です。日本の中小企業における適用可能性を検討する場合、やはり制度的にはわかりやすさ、それから運営の容易さ、この2つではないかというように考える次第でございます。
20ページでございます。課題3でございます。これは年金制度と税制についてでございます。(1)年金制度の公共性や税制の公平性の観点から、拠出や受給に至る年金税制がともすれば主要論題になるのですが、強制加入・賦課方式の公的年金と任意加入・積立方式の企業年金を同じ基準で本当に論じてよろしいのでしょうかということでございます。
(2)任意加入と積立方式を基本的な特徴とする企業年金等の税制については、長期貯蓄としての税制を基準に議論したほうがいいのではないかと考える次第であります。
21ページをご覧いただきたいと思います。同じく(5)です。特別法人税は納税義務者から法人税とされてはいるが、内実は受給時まで課税が繰り延べられる給与、これは事業主拠出と運用益での補完的な課税であり、基本税制である所得税の考え方に立脚しているという考えです。特別法人税は課税繰り延べに対する利息相当の延滞税というように説明されておりますので、課税上の意義は延滞税という意味合いではなくて運用益の課税とみなされることが多いのではないでしょうか。
22ページをご覧ください。(10)でございます。高齢化の進展、雇用慣行の転換及び社会保障・税の一体改革の流れ、あるいは税制調査会での老後所得(年金)課税の見直し議論、それを受けまして退職所得税制の見直しも不可避であるというように思われます。長期安定的な老後所得保障に向けて退職一時金制度、企業年金の一時金制度の選択から名実ともに企業年金制度、すなわち年金選択への移行を促す契機になるのではないかというように思われます。
23ページは私たちが望む姿ということで、24ページに図示してあります。これはDBからDCへの流れの中で、やはりリスク分担型の考え方、これはリスク共有という考え方が最近のトレンドになっているというように思われますので、リスク分担型企業年金のさらに進化が期待されるところではあります。
25ページをご覧いただきたいと思います。企年協の政策提言あるいは要望でございますが、提言が全部で4つ、具体的な施策ということで3つ。これは2014年のときにも同様の要望をさせていただいております。
ちょっと早口になっているようなので26ページをご覧いただきたいと思います。
まず提言1でございます。企業年金(DB・DC)についてですが、(1)、公的年金制度の終身保障機能を活用した公的年金制度と私的退職給付制度・自助努力の新たな連携。先ほど連合会の村瀬理事長からもお話があった部分、これが必要だというように考えております。
27ページをご覧ください。その部分の延長で考えた場合に6でございますが、長生きリスクは公に任せるという考え方があるのではないかと考える次第です。これは金融資産で賄われる期間は公的年金を繰り下げ、繰り下げ受給により公的年金を増額させる。これにより、長生きリスクを公的年金に任せることにする。これは今の時代のトレンドということで十分議論されていると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
8です。ナショナルセンターとも言うべき全国規模の組織で運用する方法等を考えることが重要であるというように考えます。さらに非正規労働者も視野に入れた労働政策、そういう対応も必要ではないかというように考える次第であります。
28ページに行っていただきたいと思います。特に企業年金で就業年齢と年金の適用(加入)・受給との関係ということを問われているというように私は理解をしております。キーワードは多様化ではないかというように考えております。
まず1の公的と年金ですが、国民年金の被保険者期間はぜひ期間40年を廃止して70歳まで加入可能にしていただきたいというように考えます。受給開始年齢の繰り下げでございますが、できますれば75歳まで繰り下げ可能にしていただきたい。これは当然割り増し率を考慮する必要があるというように考えます。
私的年金ですが、DBの加入可能年齢をできれば75歳まで伸長していただきたい。支給可能年齢も今、65歳というのが上限になっておるのですが、これも多様化という観点から広く定めれば上限を撤廃していただけないかということでございます。企業型DC、個人型DCの加入可能年齢。これは今、60歳になっているのです。働き方の改革から見ても65歳が主流になりつつある中で、やはりこれもDB等々と合わせて65歳まで加入可能にしていただきたい。
ここには述べていなかったのですが、先ほど数理人会さんからも御指摘があったDBの保証期間が20年となっているのですが、働き方で給料の伸びがありますので、それとあわせて人生設計も変わってくるということで20年をやはり伸長していただきたい。例えば25年、30年ということであります。これはどういう期間がよろしいかは御検討をお願いしたいというように思います。
29ページをご覧いただきたいと思います。これはDCの拠出限度額の拡大です。これもやはりいろいろと検討していただくこととなると考える。さらにDB併用の場合の制限、マッチング拠出の制限もできれば廃止していただけないかということでございます。
(6)です。DCの資産形成の問題。約10%が元本割れ。運用利回り1%未満が40%を占めている。特にこの40%を占めている部分がやはり心配であります。想定利回りとの乖離が単に時間分散投資や元本確保商品の運用で解消できるのでしょうかということで、我々、提言しております協働運用型DCも有効ではないかと考える次第であります。
(7)DC脱退一時金適用の緩和。これは今、非常に脱退一時金については制限が厳しいのですが、今後ふえるであろう外国人労働者、これは外国人加入者でありますが、そのときの帰国時一時払い。生活困窮の場合の一時払い。ここはぜひ検討に値するのではないかと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。
現在、年金と生活水準の議論には家計アプローチに基づいて公私年金制度の役割分担のためというように比較されるわけですが、ここに新たな十分性の指標を導入していただけないかということでございます。
これは30ページにあるのですが、3です。公的年金・私的年金給付制度・自助努力の役割に関する議論においては、普通は所得代替率に基づいて給付水準を把握するという形になっているのですが、これでは十分ではないのではないでしょうかということであります。現時点において家計アプローチを実行するための十分なデータは公表されておりませんが、最近、FPがこの部分を使って、本来年金はこのぐらいになるはずだというようなお話、セミナーも開かれているというように伺っておりますので、ぜひこれも検討に値するのではないかということで、この面からの水準比較も御検討いただければありがたいと思います。
31ページをご覧ください。提言2でございます。ここは具体的な施策としては、これは繰り返しになりますので、企業年金制度・退職金制度から給付金を一元的に管理するためのいわゆる退職所得の年金給付口座、いわゆる日本版のIRA、これを御検討いただけないかということであります。添付資料は39にあります。細かくは31ページの下のところに説明をしておりますので、後ほど御確認ください。
32ページをご覧ください。これも協働運用型DCということで我々が提言しているところであります。先ほどの40%の部分と元本確保から動かない方、年金、特にDCで自分は運用が嫌いだという方がいらっしゃいますので、ここについても何か御検討の材料があればいいなということで提言をしております。
特に32ページ、33ページと細かく説明しておりますが、これもかなり突っ込んだ議論を企年協でしておりますので、この部分も御確認いただければ幸いでございます。
34ページをご覧いただきたいと思います。これは先ほどの協働運用型DCに元本保証をつけたという考え方でございます。ですから、フロアリミットをオフセットにしているということで、ある程度力が必要ですけれども、これもタイミングリスクを失う方に対する手当てとしては有効ではないかと考える次第でございます。
35ページをご覧いただきたいと思います。続いて提言3をご覧ください。中小企業に関する課題でございます。制度間の差異を整備するということで(1)でございます。税制の整備ということはお願いしたとおりでございますが、中小企業政策の一環として、外部積み立て型制度への事業主拠出に対する支援策。例えば総合型DBにおいて年金掛け金未収の場合の取り扱い等、これは一応全部を残った基金で負担するというようなDBの制度が使われているのですが、複数事業主制度については、その辺の支援策もあるということが必要ではないかと考える次第です。
(2)は、積み立て制度、非積み立て制度、年金制度一時金制度を問わず、転職あるいは退職によって得られた退職給付を老後の資産の形成のために蓄積することができる受け皿。これは先ほど通算企業年金もそうでございます。日本版IRAの基本構想もそうであります。この部分も検討に値するのではないかと考えます。
(3)は、いずれにしましても中小企業においてはリスク調整の仕組みというところで、複雑な仕組みを導入するよりも年金受給者を例えば制度から切り離す仕組みというのも考えられるのではないかというように思います。
(4)は、多くの労働者が引退所得のための資産の蓄積に向かうように、例えば個人型DCの第2号加入者の仕組みを活用する仕組みというのも重要ではないかということで、その場合には、丸ポツで書いておきましたけれども、自動加入の考え方も一つの方策としては利用できるのではないでしょうかと考える次第であります。
36ページをご覧いただきたいと思います。(6)でございますが、各制度の連携によって老後資金を確保するということは、引退前に支給された資金が引退後の所得の保障のための原資として課税関係を発生されることなく引き継がれる制度ネットワークということを構築。これは繰り返しになりますが、そういう形で一時金として費消されていない仕組み。それから、転職を繰り返す方が退職金を費消してしまわない仕組み、そこを何とかつくっていただけないかということであります。
(7)日本の現状では、まだ終身給付を前提とした既存の機関としては、先ほどの企業年金連合会さん等、第三者機関への移転、それから、本人同意を前提としたDCへの切りかえなどは現実的ではないでしょうか。ここも退職給付専用口座、年金給付専用口座と協働運用型DCの活きる部分ではないかというように思います。
最後に37ページをご覧ください。提言4であります。年金制度と税制についてであります。
(1)退職所得の全般的な見直しは必要だと思われますし、現にその方向に向かっていくというように思われます。
(2)は公的年金の補完が徹底できるというのであれば、特別法人税の廃止論にも説得力が生まれるのではないかと考える次第です。いわゆる企業年金の普及が重要ではないかと考える次第であります。
(3)特別法人税は創設時の課税根拠が失われている。凍結という中途半端な状況が続いているのではないかと考える次第です。そこで、積立金課税は制度としても廃止して、支出税課税(E-E-T)方式を統一基本税制としたらいかがなものかという御提案でございます。特にこの方式はEUの共通企業年金奨励税制というようにされておりますし、個人年金ではありますが、米国のIRA(個人退職勘定)の基本的な奨励税制でありますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
(4)でございますが、日本では企業年金の義務化・強制化はどうもなじみにくいという声が多うございますが、それであるならば税制による企業年金制度の奨励・誘導が普及度合いの上昇に大いに寄与すると考える次第であります。
以上が提言でございます。
41ページの後に本日の要望のもととなった雇用延長にかかわる企業年金の対応という形で、2月に企業年金基金の会員アンケートをとりました。その結果をつけましたので、後ほど参考にしていただければ幸いでございます。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございました。
大変お待たせしてしまいましたが、最後に、国民年金基金連合会から御説明を頂戴いたします。
永原理事長、お願いいたします。よろしくお願いします。
○永原国民年金基金連合会理事長
国民年金基金連合会の永原でございます。
このような機会をいただき、ありがとうございます。
本日は、DBの国民年金基金とDCの個人型確定拠出年金、愛称はiDeCoでございますが、制度運営を担う立場といたしまして、我々が抱える課題や要望について御説明をいたします。
まずは制度の概要及び当連合会の役割について若干説明申し上げます。4ページをご覧ください。
平成3年から実施をされております国民年金基金制度は、国民年金法の規定に基づき自営業者と第1号被保険者のための上乗せ年金となります確定給付型の私的年金でありまして、月6万8000円、年間では81万6000円を上限として掛け金や給付についてはさまざまな税制優遇が設けられております。なお、掛け金につきましては国民年金の保険料と合わせた納付も可能となっておりまして、公的年金制度とのかかわりが深い制度であります。
5ページをご覧ください。制度の概況でございます。前回御報告のとおり、本年といいますより来月4月1日、国民年金基金は72基金ありますが、このうち都道府県の地域型47基金と職能型22基金が合併をしまして、全国国民年金基金が設立をされる予定でございます。
現存加入数は昨年3月末で37万5000人、これは前年比マイナスの6.1%。
年金受給者は58万3000人、これは前年比プラスの5.6%増であります。
運用は基本的に連合会が行っておりまして、昨年3月末の運用資産規模は約4兆円余りであります。
6ページです。平成14年から実施をされております個人型確定拠出年金、以下、愛称iDeCoを使いますが、この制度は確定拠出年金法に基づき、当連合会が事業主体者として個人型年金規約を定めて実施する確定拠出型の私的年金であります。
平成29年1月から基本的に全国民に対象が拡大されており、こちらもさまざまな税制優遇が設けられております。
7ページをご覧ください。現在、加入員数は本年1月末現在115万1000人と急速に伸びておりまして、この伸びに合わせて拠出をせず運用のみを行う運用指図者や企業型の資格喪失後6カ月間手続を未済につき、連合会に移換をされます自動移換者も増加をしているところであります。
8ページに両制度の概要をまとめておりますので、御参照いただければと思います。
9ページです。当連合会は常勤理事3名と職員45名の比較的小規模な体制となっておりまして、平成3年5月設立当初からの国民年金基金業務と平成14年1月からのiDeCoの業務を行っております。
国民年金基金業務は第1に、中途脱退者、これは途中で加入資格を失った方のための給付業務。第2番目に、国民年金基金運用業務の年金資産の運用業務として1口目の掛け金を対象とする給付確保事業、2口目の掛け金を対象とする共同運用事業全般の資産運用。そして、第3に、国民年基金の業務を共同して行う共同事務処理事業の運営等を担っております。
10ページをご覧ください。iDeCoにつきましては、ご覧のとおり、非常に関係機関が多岐にわたっており、当連合会は事業主体者として個人型年金規約の策定、加入資格の確認及び掛け金拠出限度額の管理、掛け金の収納や制度の周知・広報等を行っております。
ここからはそれぞれの制度の運営に関する課題と要望を御説明申し上げます。
12ページをご覧ください。国民年金基金の制度運営に関する課題を4点挙げておりますが、最大の課題は現存加入者の減少に歯どめをかけるための加入勧奨の強化であります。特に全国国民年金基金の設立を契機に、関係機関との連携協力の強化を行い、加入推進を強力に進めていくことが課題と考えておりますので、厚生労働省さんの御支援もぜひお願いしたいところでございます。
13ページです。平成27年度以降、新規加入員数は穏やかな増加でありましたが、全国国民年金基金設立を控えた今年度は体制整備も若干進めまして、昨年12月時点で1万8000人余り。これは前年の12月時点までの実績と比べて115%の水準でございます。特に生命保険や信託銀行代理店の地銀、信金による委託募集では、既に前年度の実績5,024名を上回る人数となっております。
14ページです。積立金の運用状況でございますが、直近5年間で、累積で年率8%、10年、15年累積も5%超でございまして、全て期待収益率を上回る安定した運用実績を続けております。
15ページです。国民年金基金制度に対して3点、要望をさせていただきます。
1点目でございますが、国民年金基金制度の第1号被保険者以外への適用拡大でございます。今後の社会経済情勢や高齢化、単身世帯の増加といったものが見込まれます中で、全ての世帯においてさらなる備えが必要と考えられます。
DCのiDeCoが基本的に全国民に対象が拡大された。こうした今、DBである国民年金基金を第2号、第3号被保険者についても加入可能としていただきたく存じます。
16ページをご覧ください。参考でございますが、国民年金法上、国民年金基金は国民年金と同様の目的となっております。
また17ページ、2018年の日本の世帯数の将来推計では、今後、世帯主が65歳以上である世帯数や単身の高齢世帯の割合が高まることとされております。
18ページです。国民年金基金の資格喪失者推移をご覧ください。毎年4万人程度の横ばい推移ではありますが、内訳といたしまして60歳到達は漸減傾向になりつつありますが、近年、厚生年金の拡大等により、第1号被保険者不該当となる者が増加傾向にありまして、平成24年度の27%程度から平成29年度には39%程度まで高まってきております。
19ページです。2点目は国民年金基金の加入可能年齢の上限引き上げでございます。現在の加入要件は第1号被保険者であります加入者、すなわち原則60歳到達前月までに限られ、60歳以降は国民年金の任意加入者のみとなっております。国民年金の加入年齢引き上げについても議論が進んでいるものと承知しておりますが、この議論に合わせ、引き上げを御検討いただきたいと存じます。
20ページをご覧ください。ちなみに、国民年金基金は40~59歳の加入者が9割近くを占めております一方で、生命保険協会で公表されております生命保険の動向を見ますと60歳以上の方が23%程度となっております。
21ページをご覧ください。3点目です。国民年金基金の掛け金額の上限引き上げでございます。現在の国民年金基金の掛け金額の上限は、先ほど申し上げたように6万8000円でございます。国民年金はマクロ経済スライドにより、将来に向けて給付水準は調整をされていくという方向になっておりまして、国民年金のみの第1号被保険者の年金水準の維持が課題であると認識をしております。この制度の創設以降変更されていません掛け金額の上限について引き上げの検討をお願いしたい次第であります。
22ページ、左の表でございますが、先ほどお示しさせていただきましたが、高齢単身世帯や高齢者夫婦世帯の増加が見込まれております。右の表は加入年齢に応じた掛け金可能額での払い込みを行った場合の給付額を示しておりますが、例えば50歳にて加入した場合、ほぼ満額まで掛けたとしましても男性は3万5000円弱、女性は3万円程度の給付しか受け取らないこととなっております。
上段にございますとおり、国民年金基金の平均掛け金額は2万6000円程度、平均年金月額は2万9000円程度であります。なお、恐縮でございますが、上段囲みの数字の「29,803円」は誤植で「29,092円」に訂正をさせていただきたいと思います。
24ページのiDeCoの運営に関しての課題と要望について御説明をいたします。
まず現状の課題でございますが、大きく3点。1つが加入者数の増大に対応した事務処理の効率化・迅速化。2番目に、ふくそうする諸届けの効率化及び電子申請の検討。第3に、委託事業者の管理高度化でございます。
25ページにiDeCoの加入者数の推移がございます。平成29年1月からの加入対象者の範囲の拡大後、加入者は制度改正前の平成28年12月末の30万6000人から昨年末は約4倍の112万4000人、さらには表にはございませんが、本年1月には115万1000人まで増加をしております。
26ページから本制度に対して3点、要望をさせていただきます。
先ほどから各団体の皆さんのお話を伺っておりますと、同じ方向感のお話が多いようで心強く感じておる次第でございます。
1点目は、iDeCoの加入可能年齢の上限引き上げでございます。現在は60歳未満の者しか加入が認められておりませんが、これを国民年金や厚生年金の加入年齢引き上げの議論に合わせ、60歳以上の方についても加入を認めていただきたく存じます。
27ページのとおり、iDeCoでは49~59歳の加入者が75%程度と、やはり高齢の方のほうが多くなっております。一方、民間の個人年金保険は20歳未満の方や60歳以上の方が一定程度、新規契約をされており、ニーズは高いものと見られます。
28ページをご覧ください。2点目は、前回、今回、部会の委員の方からも御指摘がございましたが、iDeCoの資格区分、限度額区分の簡素化・合理化でございます。
29ページのとおり、多岐にわたる資格及び限度額の区分がございます。現在は制度運用面において加入勧奨の際などの担当者の説明や加入資格に関する関係機関との情報共有、確認、あるいは各種届け出や第2号加入者にかかわる事業主の証明の手続等、加入者、事業者等における事務が非常に複雑な取り扱いとなっております。このため、現在の資格区分及び限度額区分を簡素化・合理化していただくとともに、各種手続について効率化できるような仕組みをつくっていただきたいと存じます。
30ページをご覧ください。3点目はiDeCoの掛け金額の上限引き上げでございます。第1号加入者につきましては、国民年金基金の掛け金額との合算額で上限が6万8000円でございます。
一方、31ページをご覧ください。企業年金の第2号加入者や共済組合あるいは第3号加入者の掛け金額は上限程度まで支払う方が多くなってございます。
以上が当連合会の役割、制度運営に関する課題、そして、要望でございます。このような機会を頂戴いたしまして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
私ども部会のために御発表いただきました6団体の皆様方には深く感謝を申し上げる次第でございます。
それでは、ただいま6団体の皆様方から御説明いただきました内容につきまして、委員の皆様方から御質問があれば頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○臼杵委員
どうもありがとうございました。皆様、短い時間で要領よく御説明いただきまして、ありがとうございます。
私、質問とあと先に2点、感想めいたものを申し上げると、一つは、やはりもともとは一時金であったものをどう性格づけるのか、終身年金にしていくのか、あるいはつなぎでもいいという考え方があったと思うのですが、そのあたりの微妙にニュアンスがそれぞれ違うという感じがいたしました。
2番目として、私的年金、特に個人単位の年金制度が今、今日、まさにお話しいただいたことからもわかるように非常にたくさんできていて、これだけたくさんあるとなかなか使うほうも大変で、そこを今もございましたけれども、手続の簡素化という観点ですとか税制とかという観点でどうやってもう少しわかりやすく整理していくのかなというのが多分課題だろうというのが感想でございます。
質問は、投資教育のところでございます。経団連さんと連合さんと企業年金連絡協議会さんにお伺いしたいのですが、経団連さんのほうでは、スライドの5番で幾つか課題に対する基本的なスタンスというところを御説明いただいたのですが、ここで4番目の資産形成・取り崩しに関する選択を支える環境の整備のところは何も特にスタンスをお書きになっていないのですが、これはどういう理由かな。つまり、逆に言うと、今、これは十分だというようにお考えなのか、あるいは十分ではないけれども、何かスタンスを出すには至らなかったということなのかというのが一つでございます。そういう意味で、もう少し言うと、今の投資教育についてどう評価されているかというところを伺いたいということかもしれません。
連合さんのほうでは投資教育のことをお取り上げになっていて、スライドの6あたりですか。投資教育の継続性と実効性を同時に高めるということなのですが、具体的に例えば繰り返すことがいいのかどうか、それで実際にどのくらいどういう効果があるのかということについて御意見があればお伺いしたい。
最後に、企年協さんのほうはこれをDCと言うかどうかは難しい面もあるかと思うのですが、協働運用型を御提案になっている理由です。つまり、この場合は投資教育が要らないということなのか、投資教育はするけれども、協働運用、みんなで1つの商品という、そのあたりのロジックをお教えいただきたいという以上でございます。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、いずれも投資教育にかかわることでございますが、経団連の小林委員から、スライド5にかかわって御説明いただければ。
○小林委員
5ページ目の老後資産の形成、取り崩しに関する選択の部分について、基本スタンスの記載がない理由ですが、今回、発表資料をまとめるに当たっては、経団連の会員企業等に意見をヒアリングし、まとめております。この項目について重要ではないという認識ではなく、この部分については特段の要望、意見が出ていないため記載をしていません。
また、投資教育についての評価について個人的な意見も含めて申し上げますと、実際に投資教育を行う企業の立場では、どこまで実施すべきかという目安が、特に継続教育の部分について判断が難しいと思います。導入時の教育の内容は、ある程度実施すべき中身も明確化され、標準型が共通の認識になっているのではないかと思います。一方で、継続教育については、それぞれの加入者により投資の経験値も変わってくる中で、どこまで企業が責任を負うべきかというところについて、今後議論が必要ではないかと認識しています。
以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
では、連合のほうから、スライド6ですね。
○伊藤委員
連合のほうは6枚目のスライドのところでありまして、余り具体的ではないのではないかという話なのですけれども、具体的に何というのは正直言ってあるわけではないのですが、先ほど下に引用させていただいた企年連の調査を口頭で少し触れさせていただきましたが、今、データは手元にないのですが、一番多いのが集団教育。これは一応やっていますという話なのですが、次にがくんと減って広報と出てきてしまうのです。広報は教育なのですかねというように非常に思います。3つ目がたしかeラーニングだったと思います。
やはり教育と言うからには習熟度に応じた適切な教育機会が提供されるべきだしと思います。では、いつまでやるのかという点についていえば、運用商品にも伝統4資産ではないものが入ってきていますし、公的年金のほうでもいろいろな運用をされたりしていますので、そういうような話を聞けば関心が出てくるかもしれませんし、企業年金の自分の運用指図においても正しい知識をもつという必要があるかもしれません。ですので、それぞれ習熟度なりに応じた継続的な教育というのはやはり重要だと思っております。この程度の話になります。
○神野部会長
ありがとうございます。
それでは、企年連さんに協働運用との関係。
○企業年金連絡協議会
先ほどのお話に入れられなかったのですが、33ページの丸ポツの2番目に実は投資教育という形で入れているのですが、この部分、33ページを御確認いただけますでしょうか。済みません、非常に重要な問題について触れなかったのですが、実は協働運用型DCでは投資教育を逆に重視しているのです。ただ、これは生活設計教育とあえてしています。というのは、DCの投資教育は最初、導入時に一生懸命やって、その後の継続教育は非常に甘くて、これは私どもではないのですが、何かというと、FPさんなどは特に、伊藤先生などは非常に現場にいらっしゃってお気づきかと思うのですが、継続して教育していく部分が弱くなるので、我々はこれを生活設計教育が重要だという提言をしています。
もちろん、商品というのはもう決まって、こういう形でやるということで、投資教育をしないということではないのですが、それを踏まえて人生100年時代にどう生きるかということを継続的につなげていく教育につなげていきたい。だから、投資教育もやるし、ライフプラン教育もやるしというセットした形ということをイメージしております。ただ、やり方はそれぞれあるので、ここはそれぞれの深みをつけていく必要があるので、これを重視しています。
○臼杵委員
済みません。だから、運用商品の選択のための教育はしないということですか。
○企業年金連絡協議会
はい。
○臼杵委員
わかりました。
○神野部会長
どうぞ。
○村瀬企業年金連合会理事長
すみません、私、説明を省略しましたけれども、企業年金連合会の7ページ、多分連合さんは私どもの資料に基づいてお書きになったと思いますが、企業型DCの継続投資教育についての実施率等についてアンケート調査をしておりまして、このデータが出ておりますので見ていただけたらと思うのです。
大手企業につきましてはそれなりにおやりになっておりますけれども、やはり中小企業について実施率は極めて低いという現実があるということ。これは大江さんが一番よく御存じだと思いますけれども、この事実について資料を見ていただけたらと思います。
なかなか継続教育というのは実施しづらいというか、実際やろうと思っても実施できていないというのが現状だろう。もし何かあれば、よろしかったら。
○神野部会長
では、大江委員、どうぞ。
○大江委員
本当小さいところでできていないというのは知っていると思うのですけれども、それについては、やはり事業主さんが導入したときの経緯であるとか、そういったところが課題であるというように思っていますし、あとここに連合会さんのデータで今回はないのですが、先生の話につながるかと思って申し上げますと、過去にとられたデータでは教育をされている事業主さんと教育をされていない事業主さんでの資産配分、分散の状況というのは明確というほど何%を明確に言うかというのはありますが、差はあるというか、効果はそれなりにあるというのはデータとしては出ているかと思います。
○企業年金連絡協議会
先ほど言葉足らずで申しわけなかったのですが、この単一のポートフォリオを選ぶので、それについてどうしてこういうものを選んだか、そういうことは当然説明しないとこの制度が成立しないという意味において、投資教育はそういう意味では行われるということです。済みませんでした。
○神野部会長
臼杵委員、よろしいですか。
○臼杵委員
はい。結構です。ありがとうございます。
○神野部会長
ほかにいかがでございますか。
どうぞ。
○井戸委員
ありがとうございます。御説明もありがとうございました。
共通のご提案は結構あったかと思うのですが、今、臼杵先生の続きで教育のところをお聞きしようと思います。企年連さんの資料の15ページに企業型DCのところの運管さんの協議会のものがあるのですが、これを見ると元本確保が多いので問題とされていますが、実はこれは48.2%が投資信託とか金銭信託などを選ばれていらっしゃるのです。ということは、やはり企業できっちりそういう説明をされているというような効果があらわれている結果だというように思っています。
出所があったので調べてみたのですが、個人型のところだと投資信託とか金銭信託等を選ばれているのが4割を切っているのです。39.5%であるということは、iDeCoに自ら手続をして入ってらっしゃるのですが、運用重視で入っているのではなくて所得控除のことからまずは入っているのかなというように深読みをしたのがあります。
個人型DCの普及に対しての支援する取り組みが必要というようにここの資料にも書いていただいているのですが、実際にはなかなか難しいとは思うのですが、具体的にはどのようなことをお考えかをお聞きしたいなと思いました。
○神野部会長
村瀬理事長、よろしいですか。
○村瀬企業年金連合会理事長
本件につきましては、どちらかといいますとデフォルト商品については随分部会でも議論されました。前に比べまして私は、指定運用方法については、リスク型のほうが増えているのだろうと思っているのです。これはやはり本人の選択に任すのではなくて、選択の幅を広げつつ、ある程度方向性を示してあげることが大事だろうと思います。その部分をまずしっかりやっていくことが大事だと思います。それによって、徐々にリスク商品のウエートを増やしていくということが大事なのだろうというように思います。
○井戸委員
ありがとうございます。 経団連さんの資料1の6ページなのですけれども、支給開始年齢の引き上げで給付減額の判定基準に見直しが必要であるということになっているのですが、全ての企業が給付減額になっていないと思うのです。お給料が高いところだけ引かれているのだけれども、減らさない企業もある。どのぐらい減額判定、減額されているのかという、もし割合とか御存じであれば教えていただきたいなと思っています。
○神野部会長
これは小林委員、よろしいですか。
○小林委員
結論から申し上げますと、具体的な数字は手元にはありません。雇用延長に伴う給付の見直し等の対応はこれから進んでいくと認識をしていますので、申し訳ありませんが、お答えしかねます。
○井戸委員
ありがとうございます。
○神野部会長
よろしいですか。
○井戸委員
はい。
○神野部会長
ほかにどうぞ。
○金子委員
金子です。
iDeCoのように加入を個人の意思に任せるような制度ですと、普及にとって手続がスムーズに進められることというのは非常に重要かと思っております。そこで、iDeCoの事務処理について伺いたいと思っております。国基連さんにということなのですが、今まで国基連さんもiDeCoの正確性だとか迅速な手続についてはいろいろな努力をされてきたと思いますが、それはどんなものなのかというようなことを御紹介いただけますようお願いいたします。
と申しますのは、私もいろいろな金融機関の方とお話をするのですけれども、彼らは国基連さんがこれまで行ってきた努力を十分に認識していないようです。彼らの意見を余りうのみにするのもどうかなと思っているところもございまして、直接伺う機会があったらそんな話を伺えたらなと思っておりました。もしあれば御紹介いただきたいと思います。
また、これに関してまだ対応できていないような課題はいろいろあるかと思っています。金融機関からもいろいろ聞いているのかもしれませんけれども、国基連さん御自身としても何に困っているか、どんなものに困っているのかということも教えていただけたらなと思っています。ただ、これはかなり細かい話になってくるかもしれません。その場合にはここで御披露していただくというよりも、ここではそういうコミュニケーションも金融機関とやってらっしゃるのかどうか、どの程度やってらっしゃるのかということだけお聞かせいただければと思っております。
それが質問の1点目でございます。2点目は完全に私の不勉強でということなのですけれども、連合さんにお伺いしたいのですが、たしか7ページ目に企業年金のガバナンスの確保について書かれている部分があります。DB年金のガバナンスに関しては政令ですとかガイドラインが一、二年前に施行されたばかりだということのようなのですが、今の段階でガバナンスの実効性について問題視されているような事案があるのか、どのようなものを想定されているのかなというのを教えていただきたいと思っています。
それが質問なのですけれども、あと感想めいたものを二、三申し上げます。基本的に皆さん、御要望されているものは私も多くは賛同します。例えば経団連さんがおっしゃっているように、企業型DCの加入者がiDeCoに加入しにくいというようなことがあり、自らの自助努力を制限することになりかねないということでございますので、iDeCoの加入要件の緩和について賛同いたします。
また、それを認めるとした場合、マッチング拠出について、企業型DCの中だけをみて拠出額全体の中に占める個人の拠出額を半分以下にするというルールがありますが、それは余り意味をなさなくなると思いますので、最初のものとの関連で、これもあわせて緩和すべきなのではないかなと思っております。
あとは大体ほとんど賛同することなのですけれども、多分皆さんと違う点がもしあるとすれば1点だけ。あえてこういう考え方もあるかなというぐらいのつもりで御紹介したいと思います。一時金による受給割合が高いことがいろいろ問題視されていますが、それは本当に制度的に対応が必要なのでしょうか。
いろいろな機関の方、ほとんど指摘されているのですけれども、確かに企業年金制度の中で考えている限り、年金で受け取らなくて一時金で取るのだったら何のための制度なのかなという気もします。ただ、目線を少し仮に上げるというのか、ちょっと広げていって、高齢期において経済的な困窮に陥ることをなるべく少なくさせるための制度だというように目的を少し拡大して解釈するのであれば、年金でもらおうが、一時金でもらおうが、結局困らなければいいのではないかという気もしております。
一時金でもらうとすぐに使ってしまって、より高齢期になったときに経済的な困窮に陥る人が非常に多いのだというような事実があるのであれば、確かに皆さんが御指摘するとおりだと思います。ただ、私などもいろいろ調査なり研究をやっている中で、あるいは大学の先生等の中でもいろいろ議論させていただく中で、日本の高齢期の特徴というのは、使ってしまうというよりも、むしろ何だか不安でたまらないので取り崩し率が諸外国に比べて非常に低いというのが特徴といえるようです。これはあくまで平均値の話なので、全員が全員当てはまるというものではないのですが、平均像で語る限り、別に一時金でもらっても結局生涯を通じてある程度の豊かな生活できるだけの十分な経済的な基盤が整えられるのだったら、それはそれでいいのではないかというように思っております。
ただ、経済的に困窮に陥る人が非常に多いということでなくて、よく計画されたキャッシュフローを提供したほうが高齢期の人々に安心感を与える可能性があるということであれば、確かに何かやる意味はあるかなと思います。その場合でも、ここの部分については民間の金融機関のサービスで補って、あえてそこの制度を無理やりつくりにいく必要はないのではないでしょうか。ちょうど金融庁などでもその議論されていますので、むしろこの場ではそれを後押しするぐらいのメッセージを出すだとかぐらいでもいいのではないかなと思った次第でございます。
最後は幾つか意見なのですけれども、質問は2点ほどさせていただきました。
以上でございます。
○神野部会長
ありがとうございます。
まずiDeCoといいますか、国基連さんのほうに手続や課題等々ございましたら。
○永原国民年金基金連合会理事長
それでは、私どもの資料の24ページに、今、制度運営に関する課題というように挙げさせていただいておるのですが、先ほどお話し申し上げましたように、何せ加入者が倍々ベースで急増しておる。これに伴って単純に毎月、新規で加入される方というのは大体ざっくり言って3万3000か5000ぐらいなのですが、諸届けでございます。もういろいろな形での加入ですとか移換ですとか、登録事業所、住所、氏名の変更、引き落とし金融機関あるいは掛け金額の変更など、この諸届けと言われているものが物すごくふえておりまして、大体月10万に上るぐらい、かつ12月などの実績で言いますと前年同月対比で1割ふえておるというような状況でございます。
こうした急増する事務に対しまして、我々はiDeCoという、制度が加入者の拡大になったときに、外注といいますか、外部に委託をするということを行いまして、大きな柱が事務処理センター、もう一つがコールセンター、この2つで我々自身が受けるものを弾力的に対応できるようにしています。
往々にして事務手続が遅いのではないかというお叱りを受けることがあるのですが、一番難しいのが、我々は毎月20日に各金融機関から申し込みの届け出を受け付けて締めます。事務処理センターを使って登録、入力をいたしまして、これで月末前日ぐらいまでに仕上げる。それを今度は日本年金機構に加入資格の確認をするために毎月データを持ち込むという作業がございます。これは一号被保険者なのか、あるいは3号なのかといったものをチェックしなければいけないというために行うわけでございます。それで大体5日ぐらいかかりまして、これで各資格の確認ができたものを今度は金融機関にDVDでフィードバックいたします。フィードバックをして、それを受け取った金融機関が毎月26日に資金を落とす。落とした金がまたこちらのほうに参りまして、それをさらに今度は運用委託の金融機関に送っていくといったようなサイクルを毎月繰り返しているわけでございます。したがいまして、ざっくり言いますと1カ月半とか結果として時間がかかってしまうということがございまして、これが非常に頭の痛いという状況になっております。
ただ、このコールセンターの入電状況なども例えば平成30年ですと月平均で8,000件ぐらい来るのですが、これが大体1年で3割ぐらいふえている。事務も単月で大体1割ふえている。ただ、事務処理誤りはそれの比率からすると抑えているということで、システム対応を含めてそれなりの努力をやっておる。
加えまして、運用管理機関さん、160社ございますけれども、ネットによる情報の交換でありますとか協議会をつくっての意見交換を年に二、三回あるいはプラスアルファでやっておりますが、あるいはRK、記録をつかさどる運営管理機関の4社のところとはほぼ毎月のように打ち合わせをして円滑な事務処理を目指しておるというところで、ふくそうする事務とこれに対応するというところで非常に今、苦労をしておるというところでございます。
○神野部会長
よろしいですか。
○金子委員
はい。
○神野部会長
連合のDBのガバナンスの実効性について御説明いただけますか。
○伊藤委員
資料では7ページのところに掲げさせていただいたのですが、下に参考にあるような、改正がされたばかりで、ガバナンス上、なおどんな課題があるのかという御質問だと思って受けとめました。現時点で改正後になおある課題は正直把握できておりません。ただ、問題意識として非常に感じているのは、DCの商品の上限数とかデフォルトファンドの議論があったときに、私どもとして各企業の労組がどんな企業年金を持っていて、どういう運営がされているかという情報を常時持っていないもので、個別にヒアリングをしたのです。
そのときにやや心もとないような印象があったのも事実でありまして、労使協議や同意をするには十分な知識により判断が必要になってくるわけですけれども、なかなかそこに追いついていないというところも感じました。ここに今回書かせていただいたような十分理解できるような説明をいただかないと、だんだん制度も複雑になっており、形式的な同意だけをするということにはならないと思いますので、そういう観点の問題意識でございます。
以上です。
○神野部会長
よろしいですか。
○金子委員
ありがとうございます。
○神野部会長
ほかにいかがでございますか。
小川委員、どうぞ。
○小川委員
数理人会の小川です。
1点はコメントで、1点が御質問です。
コメントのほうは、企業年金連絡協議会さんのほうで、資料で言うと29ページの家計アプローチのところでございます。
この考えというのは、読ませていただきまして、いわゆる十分性ということで非常に興味深い指標だと思っています。おっしゃるように足りている、足りていないの議論について、きちんとそういうところから見ていく。
コメントといたしましては、年金数理人会あるいは年金数理人としては、では、この十分性がある程度わかったところで実際に公的年金、私的年金がどういうようにカバーできているのかというのを見ていこうという手段としては御案内のとおり、手前どもは年金数理の世界でございますので、例えば企業ごとの従業員の分布ですとかモデル昇給とかを使いながら、将来、どのぐらいもらえるか。実際、ねんきん定期便で国の方でそういったものがあり、そこでは昇給という概念は、自分で入れるのだとは思うのですけれども、こういうものができた暁には、我々として少しそこに知恵が出せるのではないかなというコメントでございます。
最後、質問のほうは企業年金連合会さんのほうでございまして、資料で言うと15ページの資料で、ここも非常に興味深くて、一時金か年金かと先ほど話もあったのですけれども、実際、どう受け取るかというのは非常に大事なところだと思っていて、一番下の2行目の終わりからですが、例えばリスクを減らしながら運用しつつ資産を引き出す標準的な受給方法の設定とあるのですが、これは非常に重要なポイントではないかなと思うのですが、この標準的な受給方法の設定というのは、例えば設定というのはこういうものがありますよというように加入者に対して参考程度に示すものなのか、あるいは受給をするように何かインセンティブを持っていくとか、どういう形でこれを設定されるというようにお考えなのか。それはDCだけではなくてDBにおいても十分有効なことではないかなと思ったのでお伺いをしております。
以上です。
○神野部会長
これは企業年金、理事長、よろしいですか。
○村瀬企業年金連合会理事長
本件につきましては、先ほど申し上げました企業年金制度研究会の報告書の中に問題点として出ておりまして、詳細までは入っておりませんけれども、これをまず見ていただきたいと思います。
○神野部会長
ありがとうございました。
どうぞ。
○藤澤委員
藤澤です。
コメントが1点と質問が1点ございます。
1点目はDCの拠出限度額に関する件です。複数の団体から拠出限度額の引き上げの提言があったと認識していますが、年金数理人会の資料の9ページに「DC拠出枠も将来に向けて十分とは言えない」という説明の記載がございました。この将来に向けて十分とは言えないという部分について、定量的に評価できないかと考えております。
前回の部会で事務局のほうから拠出限度額は厚年基金並みの給付水準をベースに設定している旨の説明がございましたが、それとは別のアプローチで、どの程度まで引き上げればいいのか、その十分性みたいなところを何らかのエビデンスを使って拠出限度額を設定するという政策決定をする必要があると思っています。
年金数理人会に所属されている会員の方は、多くは生命保険会社や信託銀行等の受託機関に所属しているということもございますし、アクセス可能なデータとそうでないデータがあるかもしれませんが、統計データの形にデータを加工し、数理的なスキルを使って拠出限度額の引き上げに資するようなエビデンスをつくっていただけると今後議論がしやすくなるのではないかと考えています。
大きな話になってしまうので、この場でできる、できないという点を断言するのは難しいと思いますが、こういったところも家計アプローチと含めて今後御検討いただけると助かると思っています。
2点目は国民年基金連合会に対する御質問なのですが、説明の冒頭に72基金のうち69の基金が合併して全国国民年基金を設立という説明がございました。目的の一つに事業運営の効率化という観点があろうかと思います。全国国民年金基金ができると全国的な組織が2つ存在することになるわけで、国民年金基金連合会と全国国民年金基金との間で事業運営の効率化とか将来的には統合化ももしかしたら検討されることになると思っておりますが、そのあたりについてコメントいただければと思います。
○神野部会長
コメントいただいてよろしいですか。
○永原国民年金基金連合会理事長
御案内のとおり、あと2週間ぐらいで全国国民年金基金連合会ができるということで、今まさに最終コーナーを回って集中しているところでございます。もともと国民年金基金連合会としては、業務の柱として加入推進、もう一つ、積立金運用。これは二大重要な業務であるというように位置づけてきたわけです。今回、それを2つに分けて、おのおのやはりきちんと遂行してみよう。と申しますのは、従来、例えば都道府県47ですとか職能が25あったわけですが、我々はアドバイザーといいますか、アドバイスはしてきたのですが、直接的に営業活動について指示をするという立場ではございませんでした。
それで今回、皆さんの合意を得て69が一緒になることによって全国統一的に営業の推進をしていくことができるようになります。そのために例えば1年前にシステムを開発していまして、加入のダイレクトメールを出して、その加入の希望される方の連絡がありまして、そういうものをデータベース化して全国統一的なデータベースをつくるですとか、あるいは各県ではなくて全国のブロックに担当者を置いて、全国の金融機関ときめ細かく向き合っているというようなことをずっとこの1年、続けました。
先ほど申し上げましたように、前年対比で115%の新規加入者を得ている。まだやれるなと。ざっくり言いまして加入対象可能者というのは600万弱いるというように考えておるのですが、そこからいきますとまだまだ基本的にはやる余地はある。ただ、まだそこは十分にできていないということから、今回、全国基金という新たな枠組みの中で、もう一度、加入の推進をきちんとやっていこう。まずはそこから始めて、あわせて連合会自体もガバナンスを強化して、現在、運用自体は先ほど申し上げたように直近5年間も8%で回ってはおりますが、こういったものについてもよりリスク管理をきちんとやり、運用体制をさらにレベルアップしたい、こういうことでとりあえずスタートしたいと考えております。
○藤澤委員
どうもありがとうございました。
○神野部会長
ほか、どうぞ。
○伊藤委員
ありがとうございます。
2つ質問と、先ほどのことで1つコメントをさせていただきたいと思います。
質問は、まず国民年金基金連合会さんにこういうデータはあるのですかというのをお聞きしたいと思います。国民年金基金とiDeCo両方なのですけれども、加入者の所得階層というのは何か出せますかということ。
○永原国民年金基金連合会理事長
残念ながら、持っておりません。
○伊藤委員
そうなのですか。どういう方が加入をされているか、払っているのかというのが非常に興味深かったもので、例えば今日も拠出限度額を上げるという意見が多くありましたが、そうした場合にどういう所得階層の方に効いていくのかということを把握するために必要だと思ったところであります。
もう一つお聞きしたいのは、企業年金連絡協議会さんの資料の27ページの8の「また」というところで、企業年金・退職金が適用されない非正規労働者も視野に入れた労働政策としての政策対応も必要であるというところ。どのようなことを念頭にあるか、もしお持ちだったら教えていただければと思います。
○企業年金連絡協議会
非正規雇用労働者は結局、退職金制度がない方が多いのです。その人たちにどういうように老後の資金をためていってもらうかといったときに、まず、お一人でやっていけるかどうかということを踏まえて、会社側で考えられることと国で考えること、自分のできること、これらを総合的に考えて何か施策が生み出せないかという意味での希望的な観測の部分は確かにあります。
○神野部会長
よろしいですか。
○伊藤委員
あと1つコメントでございます。
一時金で受け取っていることについて私のほうでも課題として、今日、お示しさせていただいたのですけれども、これをどのように政策的に対応すべきかという点については現時点で方向性が固まっているものではないところなのです。といいますのも、一時金で受け取っている方の民間での調査から見ると、2割がローンの支払いに充てているとかということもありますが、2割はそんなに多くないようにも感じます。しかし、では一時金で受け取った後、そのお金をどのように使っているのか。また金融機関に預けて自分で運用しているのかとか、もう少し調査分析していただければ対応についても考えられるのではないかという問題意識でありました。
以上です。
○神野部会長
承っておけばよろしいですか。
ほか、いかがでございましょうか。
大江委員、どうぞ。
○大江委員
iDeCoの国民年金基金連合会さんのほうに、iDeCoの普及に関する件で言いますと、スマホでもう全て完結という時代にやはりなってきているのかなというように思っております。手続きに時間がかかっていることについていろいろ御努力されているお話を伺っているのでとても心苦しいのですけれども、ただ、やはり入る人たちの側からすると、そこは利便性が低いということで離脱している人が多数という意見も出ているので、それを改善していくためには、オンライン化とかも検討は早くしなければいけないと思います。利便性の高い制度に今後していかないと普及しないと思いますので、事務的な話でネックになっていることや問い合わせなどについては事細かくどこかのタイミングで開示をいただくことは必要だと思っています。
あとは、これは制度の話でポータビリティーのお話が余り出ていなかったと思うのですけれども、問題意識として、相変わらず自動移換になっている方の数が減っていません。ことしの5月からそういう方が救えるような仕組みを厚労省さんのほうでつくっていただいているのですけれども、減っていません。5月から稼働した仕組みによって、どれぐらいの方が例えば新規のiDeCoの加入、新規の企業型加入のときに自動移換にならずに救われていっているのかというようなことについて、データとして何らか拾えるのであれば教えていただきたいです。これは希望です。
○神野部会長
承っておけばよろしいですか。事務局、何かコメントがあればどうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
RKがひもづけた件数を調べればわかりますので、どこまでできるかを含めて預からせていただければと思います。
○大江委員
ありがとうございます。何らか減らしていくきっかけになればなと思います。
○神野部会長
一応コメントいただけるのであれば。
○永原国民年金基金連合会理事長
手元の資料では連合会の自動移換のうち約5万件は今回の制度の仕組みを変えることによって移換ができたということなのですが、いかんせん、もとの数が非常に多うございますので、期待し得るほどの効果は上がっていないのではないかというように思われます。
あと先ほどのモバイルの件でございますが、基本的に運営管理機関である金融機関、これは今、RKを含めて160ございますが、そこの受付窓口の問題がありますので、一気通貫でシステムをつくるというのは非常によい案だとは思われるのですが、ここにおける仕組みをつくりますには、巨大なまたシステムを構築しなければいけないことにややつながるような気がいたしまして、我々としても方向感は全く異論がないのでございますが、なかなか難しい問題があるということを御理解いただければと思います。
○神野部会長
では、森戸部会長代理、どうぞ。
○森戸部会長代理
2点ほどコメントになると思うのですが、一つは、やはり受け取り方の問題で、金子委員の御指摘は非常に重要で、企業年金部会だし、そもそも法律上も給付は年金です。でも、一時金でもいいよみたいに書いてあるぐらいで、そもそも年金だということになっているけれども、そこを最初からいろいろな観点から問い直す必要があるのではないかという御指摘は、既にそういう指摘は前からあるとは思いますが、改めて非常に重要な御指摘をいただいたと思います。
金子委員が自らおっしゃったように、定期的なキャッシュフローがあるということの意義はもちろんあるのでしょうけれども、それをやるためのコスト、民間で終身年金をやるにせよ、制度で終身年金をやるにせよ、結構コストがかかるし、なかなか難しいという話は既に出ているので、そういう中でどういう制度にしていくかというのは、余りそれは年金なのだから年金でしょうと決めつけずに議論していくことが必要かなというのは思いました。
もう一点は、先ほどから出ている国基連さんにかかわる話ですが、先ほど藤澤委員が質問されて、藤澤委員は人格者なので割とやわらかくおっしゃいましたけれども、要はもう少しはっきり言えば、全国基金ができて、あとは特定の自営業者のものが幾つか残ってということですね。だから、それで国基連は役割としては、むしろiDeCoのほうが、仕事は全国iDeCo連合会のほうなのではないか。他方で、iDeCoにはいろいろな現場から要望も出ているから、むしろそちらが仕事としては本当の中心になるというか、ならざるを得ないのかな。
加入とかしてほしいというのは、それは国民年金基金のほうは全国基金でやればいいのではないかというように私は思ってしまいました。むしろ、iDeCoは他方で、今後広がり得る制度だと思いますので、ぜひそういう観点で、これは別に国基連さんが考える話ではなくて、厚労省の偉い人が考える話かもしれないのだけれども、ただ、そういうことを議論していかないといけないかなという感想ですが、思いました。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございます。
そろそろ時間が押してまいりましたので、打ち切らせていただいてよろしいですか。申しわけございません。
本日は6団体の方々から貴重な御意見を頂戴いたしましたことを深く感謝を申し上げる次第でございます。いずれ、これはまとめて今後の運用に活用したいというように思っておりますので、事務局においては、今日の意見を整理していただければと思います。
それでは、もう一つの議題のほうに移りたいと思いますが、「確定給付企業年金の非継続基準の予定利率について」、これを事務局から御報告いただければと思います。
○吉田企業年金・個人年金課長
御報告申し上げます。資料7をお開きいただきたいと思います。
1ページを見ていただきまして、確定給付企業年金の財政運営は、継続基準と非継続基準の2つの観点から確認しています。継続基準による財政検証とは今後とも制度を継続するとした場合に、将来の掛金収入とあわせて、将来の給付を賄うために現時点で保有しておくべき積立金、責任準備金を有しているかどうかの検証であります。
継続基準は、現在保有している資産に加えて将来の掛金収入も資産とみなすため、これまでの加入者期間に係る給付に見合う積立金、最低積立基準額を確保できているかを確認する観点から、1997年度に当時の厚生年金基金に対し、新たな財政検証として非継続基準を導入しました。
最低積立基準額は、財政検証のほか、制度変更や制度終了の際に利用されています。この最低積立基準額の算定に用いる予定利率は厚生労働大臣が告示することとされており、具体的には30年国債の応募者利回りの5年平均の率を基準に、労使合意の下で当該率に0.8以上1.2以下の係数を乗じた率とすることもできることとされています。この調整幅は、金利水準の短期的な変動による影響をできるだけ抑制し、財政運営の安定化を図るための措置として2003年度に導入しました。
2ページをご覧いただきまして、この非継続基準の予定利率の調整幅の見直しです。30年国債の応募者利回りの推移を見ますと、2012年度頃までは概ね2%を維持していましたが、その後も低下が続き、直近では1%未満の低水準となっています。調整幅を導入した2003年度においては、0.8以上1.2以下の係数を乗じることで、予定利率にプラスマイナス0.5%程度の幅を確保することが可能で、これは最低積立基準額をプラスマイナス8~9%程度変動させる効果がありました。
しかし、昨今の長期的な低金利の影響により、2019年度時点で確保される予定利率の幅はプラスマイナス0.2%程度で、これは最低積立基準額をプラスマイナス3.5%程度変動させる効果にとどまり、財政運営上、許容される幅が従前に比べて小さくなっています。したがいまして、係数を乗じる方法を改めまして、労使合意の下、30年国債の応募者利回りの5年平均の率に0.5%以内の率を加減して得た率を予定利率として用いることを可能とするものです。
現在の低金利下において、2003年度当時と同等の効果を得るには、予定利率に対してプラスマイナス0.5%程度の調整幅が必要と考えての措置となります。
下段を見ていただきまして、制度終了時などの取扱いですが、制度変更・制度終了時に用いる予定利率は、加入者等の受給額に直接影響するものでありますから、制度変更・制度終了の際に適用される調整幅の適用可否については改めて労使間で十分に検討し、予定利率として0.5%以内の率を加算した率を用いる場合は、5年平均の率を用いる場合に比べて受給額の減少が起こり得ることを踏まえ、用いる予定利率を規約に規定することを求めたいと思っております。具体的には法令解釈通知などにこの取扱いを明記しまして指導を行う所存です。
以上です。
○神野部会長
非継続基準の予定利率につきましては御報告として御説明いただいたわけでございますが、何か御質問があれば承っておきたいと思います。いかがでございましょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○森戸部会長代理
質問というわけではなくて、内容にも別に特に何か異論があるというわけではありませんが、一言、連合さんに、これは結局この話に限りませんが、企業年金制度はおよそそうですけれども、今回も労使合意のもととか、労使間で十分に検討しというのが入っているのです。ですから、もちろん、労働組合なり労側の役割は重要だということはもう言わずもがなですが、だから、連合さんのほうでこういう話の労使合意とかが実際どうなっているのかとか、なかなか難しい話だから指導ではないですけれども、どういうような感じでこういう話が労使合意されているのかなというのは少し興味があるというか、実際上、そこがこの制度を支えている部分でもあるので、何か具体的に質問とかというわけではないのですが、こういう問題について労側としてどういうように考えるかということも今後連合なり労側で考えたら、ちょっと頭に置いていただいたらいいかなと思ったもので、一言お願いというかコメントです。それだけです。
以上です。
○神野部会長
伊藤委員、現時点で何かあれば。
○伊藤委員
個別の企業、労組でどのような対応をしているかということを聞きながら考えてみたいと思います。
○神野部会長
ほか、よろしいですか。
済みません、予定の時間をオーバーいたしておりますので、本日の議事につきましては、この辺で打ち切らせていただきたいと思います。
次回につきましても、引き続き関係の団体の皆様方からヒアリングをさせていただこうというように思っております。次回の開催等々につきまして、事務局から連絡事項があればお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
次回の部会の開催日時は事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、関係団体と日程を調整させていただきまして、その後、正式な御案内をお送りしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○神野部会長
それでは、これにて第2回の企業年金・個人年金部会を終了させていただきます。
最後まで御熱心に御議論を頂戴いたしましたことを深く感謝申し上げる次第でございます。大分もう暗くなっているかもしれませんが、予定の時間をオーバーしたことを重ねておわびを申し上げて閉会したいと思います。
どうもありがとうございます。
団体